2025.04.032025.04.06

【越谷・蒲生】和紅茶チャイとカレーが主役!?「茶番 -chavan-」で見つけたお茶の新提案

蒲生駅 蒲生カフェ 和紅茶 カレー

越谷市の東武鉄道伊勢崎線「蒲生駅(がもう)」から歩いて5分。職住一体型の集合住宅「ワネスト」の1階に、また通いたくなるお店があります。名前は「茶番 -chavan-」。香ばしいスパイスとふんわり広がるお茶の香りに包まれた、本気のお茶屋さんです。

ちなみにこのワネスト、ちょっぴりスタイリッシュな外観に加え、店舗の並びもちょっとした迷路のよう。初めての方は「ここで合ってる?」と不安になるかもしれません。でもその分、お店にたどり着いたときの「隠れ家感」は抜群です。

「茶番」の看板メニューは、和紅茶でつくる自家製チャイとスパイスカレー。「お茶屋さんで、なぜカレー? どうしてチャイ?」。最初はそう思ってしまう組み合わせですが、味わってみると、その理由が少しずつ見えてきます。

その背景には、日本茶の可能性を広げたいという強い想いと、農家とのつながり、そしてお茶文化への敬意が込められていました。

カレーとチャイでお茶を伝える。「茶番」に込めた自由なお茶のかたち

2024年、越谷市・蒲生にオープンした「茶番」は、和紅茶や和烏龍といった“国産発酵茶”を主役にした、ちょっとユニークなお茶屋さんです。

全国の茶農家を訪ね歩き、上質な国産茶葉を仕入れてレストラン向けに卸してきたオーナーが運営しています。和の茶葉をレストランに提案するうちに、日本茶の奥深さと、まだ広く知られていない魅力に気づいていったといいます。

オーナーは、元イタリアンレストランのサービスマン。「料理にワインを合わせるように、お茶も食事と一緒に楽しめる存在にできるはず」。そう考えた彼は、日本茶の世界に飛び込み、自ら農園に足を運ぶようになりました。

最初にオープンしたのは、越谷市内の古民家複合施設「はかりや」にある1号店。
こちらでは、おむすびやお茶菓子とともに、丁寧に淹れた一杯のお茶を味わう空間が広がっています。

そして2024年秋、2号店としてオープンしたのが、ここ蒲生の「茶番」。チャイやカレーといった“ちょっと意外な入口”からお茶の魅力に触れてもらうことで、お茶に馴染みのない人にも「おいしい」と思ってもらえる体験を届けたい。そんな想いがこの店には込められています。

和紅茶って何?チャイに合う「やさしい紅茶」

ぜひ味わいたいのがチャイです。海外産の紅茶ではなく、日本で育てられた茶葉を発酵させてつくる「和紅茶」がベースです。緑茶と同じ茶葉を使いながら、発酵という工程を加えることで紅茶のような風味が生まれ、渋みが少なく、ほんのり甘みとやさしい香りが立ち上がります。

「スパイスは控えめにして、和紅茶の風味を引き立てるようにしています」とスタッフの末永さんが教えてくれました。まさに、「お茶屋さんのチャイ」ならではのアプローチです。

実際にひと口飲んでみると、そのやわらかな味わいに驚きました。スパイスの香りはほんのりと香る程度で、和紅茶の自然な甘さがふわりと広がります。チャイといえば濃くて重たいイメージがありましたが、「茶番」のチャイはむしろ“ごくごく飲める”すっきり感。カレーにぴったりです。

さらにこのチャイには、もうひとつ大切な想いが込められています。使われているのは、見た目や等級の関係で市場に出回りにくい、いわゆる「B級茶葉」。農家さんが丁寧に育てた茶葉を無駄にせず、チャイという形で新たな命を吹き込んでいます。

「そのまま飲んでもおいしいけれど、チャイにすればまた違った魅力が出る。お茶の新しい活かし方なんです」と末永さん。農家とのつながりを大切にしながら、フードロスにも配慮する。「茶番」のチャイには、そんな想いと工夫がぎゅっと詰まっています。

チャイご飯に合うカレーづくり。副菜にもお茶の工夫が光る

チャイと並ぶ「茶番」のもうひとつの主役がカレーです。種類は、チキン、ベジ、季節のカレーの3種。それぞれ個性を持ちながらも、目指す味はひとつ。「ご飯に合うカレー」です。

「スパイスカレーというと、辛さや刺激を求める方も多いと思います。でも、うちはお茶屋のカレー。だから、ご飯にもチャイにも合うことを大切にしています」と、スタッフの末永さん。

この日は贅沢に「カレー3種盛り」を注文しました!

定番のチキンカレーには、10種類のスパイスがブレンドされ、自家製味噌を加えてコクと深みがプラスされています。ベジカレーは、お茶を淹れたあとの「茶がら」を再利用。丁寧に煮出し直して出汁として加えることで、カレーとお茶の旨みと香ばしさがじんわりと重なり、唯一無二の味わいを生み出しています。そして、季節のカレーでは、マグロを煮込み、冬トマトと合わせた、イタリアンな仕上がり。トッピングの茶卵がアクセントになって、運ばれてきただけでとってもワクワクする一皿です。

副菜にも「茶番」らしいこだわりが光ります。カリフラワーはお茶の出汁でじっくり火を入れ、ほんのりスパイスを効かせています。サツマイモのヨーグルト和えにはカルダモンを、フェンネルで香りづけした黒キャベツは鶏の出汁で柔らかく煮込まれています。さらに、地元越谷の無農薬野菜を使ったサラダや塩麹漬けなど、旬を感じる副菜が常時4〜5品ほど添えられ、どれもカレーとの相性を丁寧に計算されています。

カレーもチャイも抜群に美味しかった。ご飯はお代わりできるのでお腹もいっぱいです。

スパイスとお茶。和と洋。ご飯とチャイ。一見ミスマッチに見える要素たちが、ひと皿の上でしっくりと溶け合う。そんな意外性と調和の妙に、思わず驚かされました。

メニュー

メニュー

チャイはテイクアウトもOK。自宅で再現できる嬉しさ

「茶番」のチャイは、お店だけでなく、自宅でも楽しめます。店頭では、和紅茶とスパイスをセットにした「チャイ用ブレンドパック」も販売されています。
※一時品切れ中。入荷次第再販売予定

鍋でじっくり煮出すひと手間はかかりますが、ご家庭でも、和紅茶のやさしい香りとまろやかな味わいが楽しめます。「家でもお茶の時間を楽しんでほしい」という思いが、ここにも込められています。

お茶のイメージが変わる。そんな時間をこの街から

「お茶はもっと自由でいいと思うんです」。末永さんがそう語るように、「茶番」では、お茶をもっと日常の中で楽しんでほしいという願いが、チャイやカレーという形で届けられています。

実はこのお店、クラウドファンディングを通じて多くの人の応援を受けて誕生しました。「スパイスと合わせても、お茶はもっと自由でいい」――そんな提案に共感が集まり、支援者たちのあたたかなメッセージとともに、目標金額を大きく上回る支援が寄せられたのです。

「美味しいお茶の時間を、もっと身近に、もっと多くの人に」。その想いに共鳴した人々の後押しが、今の「茶番」をかたちにしました。

 

クラウドファンディング「日本茶の文化を救うお店を作りたい」
https://camp-fire.jp/projects/770890

越谷市の蒲生に足を延ばし、一杯のチャイとカレーを味わってみてはいかがでしょうか。その一口が、お茶との思いがけない出会いになるかもしれません。

Information お店情報

茶番 ーchavanー

埼玉県越谷市蒲生茜町21-8 南越谷ハイツ 1F

11:30〜15:00

※金土の夜の営業は、公式サイトでご確認ください

定休日火・水

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この記事を書いた人いとうゆうすけ

人にフォーカスした取材記事を好みます。
AIに負けないコンテンツは現場にあり、ということで、現場のリアルな姿を文章と画像と動画で伝えていきます。
Instagram@nicegohan

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