2024.02.282024.02.28
【クルマでGO】サーキットを走ってみよう!
クルマでGO
リプロマヴィ読者のクルマ好きのみなさんこんにちは。
突然ですが、みなさんはご自身の車でサーキットって走ったことありますでしょうか?
公道ではできない楽しみ方ができるのがサーキットの醍醐味です。
とはいえ「サーキット走るのなんてほんの一部のプロみたいな人なのでは…」とお思いの方も多いかと存じます。私も以前はそうでした。
イメージされているサーキットは、F1が行われている鈴鹿サーキットやスーパーGTやスーパーフォーミュラの行われる富士スピードウェイなどを思い浮かべていませんか?
もちろんこれらのサーキットを走ることもできるのですが、こういった市販車でも最高速が200キロを超えるような本格的なコースでなくても、ショートコースという1周の距離も1キロ程度でストレート区間も短く最高速もそこまで伸びないコースがいくつもあります。
まずはこういったショートコースでサーキット走行を体験してみるのがおすすめです。
フリー走行枠といって個人個人でエントリーして走れる枠をサーキットが用意していたり、また貸し切りの走行会にエントリーして楽しむなど、参加のしかたも色々あります。
何が必要?
いざサーキットに行ってみようと思っても何があればよいのかわかりませんよね。
ここではまずサーキットを走行するにあたって最低限必要なものをあげていきます。
車
もちろん車がないと走れません。
でも別にスポーツカーじゃなくてもいいんです。
走行会に参加してみるとみなさん多種多様な車で参加されています。それこそガチガチのスポーツカーもいればセダンやコンパクトカー、ミラのような軽自動車だって走っています。
それぞれの車の速度域や限界点、また個人個人の技術に合わせて無理のないように楽しむのが一番です。
ヘルメット
スポーツ走行ですのでどのサーキットでも万一のことに備えてヘルメットの着用は義務付けられています。
顎まで隠れるフルフェイスが安心ですが、ジェットヘルメットでも大丈夫です。
ただし、半キャップのタイプのものはNGです。
バイクに乗られている方であればバイク用のヘルメットでも走行可能です。
私は初めて走行会に参加した際にこちらのヘルメットを購入しました。
[スパルコ] CLUB X-1
スパルコ ヘルメット Club X1(クラブ)は、レーシングカートや四輪走行会向けに開発された低価格フルフェイスヘルメットです。
本格的なエアロダイナミクス形状、大型ベンチレーション機構、5段階角度調整が可能なシールドを装備するなど、価格以上の充実装備が魅力です。
はじめてのフルフェイスヘルメットとしてオススメです!
4輪用のフルフェイスタイプの中では一番低価格帯のものですが、F1のレーシングスーツなども作っているイタリアのスパルコというモータースポーツ関連メーカーの製品ですので安心です。
HANSデバイス?
クラッシュした場合にヘルメットで頭部は守れますが、首にダメージを負ってしまう場合も考えられます。それをケアできるのがHANS(ハンス)デバイスというものです。F1などのモータースポーツが好きな方はご覧になったことがあるかと思いますが、レーシングドライバーがヘルメットをかぶっているときに肩にUの字型のものをかけているのを見たことはありますでしょうか?
これがHANSデバイスです。
仕組みとしては、このUの字型のHANSデバイスを6点式のシートベルトで上から押さえつけ、HANSデバイスとヘルメットを専用のストラップでつなぐことによってヘルメットがストラップで引っ張られるため、首が前に行かないという仕組みになっています。
こちらのYOUTUBEで解説してくれているのがわかりやすいかと思います。
HANS社製 新 HANS3 / ハンス3 ハンスデバイス 20°
FHRデバイスの礎を築いたオリジナルhans。
新素材のポリマーで今までの安全性を確保しながら軽量化とコストダウンに成功し低価格を実現
アライ(Arai)ヘルメット GP-6S 8859 サイズ:S + HANSクリップ セット
最高峰GP-6モデルに匹敵するスペックと被り心地を備え、最新スネルSA規格、M6ターミナル標準と最新フロントダクト仕様にバージョンアップしたスタンダード4輪用モデル。
BRIDE (ブリッド) フルバケットシート【ZIEG Ⅳ】
さまざまなレース経験、プロドライバーからのフィードバックをもとに、高い安全性とホールド性能を追求して作り込まれたフルバケットシートです。 シェル全体がドライバーを深く包み込む "猫背" ラインのディープホールド形状になっており、ハイスピードのコーナリングや高い走行Gが掛かるような場面でも、 ドライバーをしっかりとホールドし、確実なドライビング操作が行えるようになっています。
高価なものにはなりますが、パッシブセーフティはある意味保険のようなものですので、継続してサーキット走行をする方はできれば準備しておきたいところではあります。
手袋
滑りにくく、指先から手首までをしっかり覆っている手袋が必要です。
ハンドル操作に直結する重要なところになりますので、できればレーシンググローブで臨みたいところです。ちゃんとしたメーカーのものでも安いものであれば5,000円弱で購入できますよ。
FETスポーツ 3Dライトウェイトグラブ グローブ
手になじみやすい立体裁断。フィット感に優れ、ステアリングやシフトの操作時に抜群の使いやすさを発揮します。
入門者にも使いやすいよう、軽量生地(3Dレーシンググラブに比べ約24%)を使用。ステアリングのダイレクト感を高めています。
こちらのFETという会社は日本の自動車関連の製品を幅広く扱っているところです。サーキットデビューには嬉しい低価格からいろいろな製品を用意してくれています。
長袖長ズボン
サーキット走行は半袖や半ズボンは不可です。動きやすい服装の長袖長ズボンの着用が必須となります。
そのうえで、できればツナギがあるとより安心ではあります。万が一クラッシュしてしまったときに、マーシャル(コース運営の係員の方)が助け出す際に上着を引っ張っても脱げないで引っぱり出せるからだそうです。
さらに難燃性のレーシングスーツがあればなお良しです。
[アルパインスターズ] 4輪用レーシングスーツ ATOM SUIT
優れた耐熱性と難燃性を兼ね備えた100%アラミドのアウターシェル生地
ショルダーエバウレット構造によりクラッシュ時のドライバー救出性を向上
こちらのようにアマゾンで「レーシングスーツ」で検索するとスパルコやアルパインスターズという有名メーカーの商品の中でも1万円台の商品から7万円以上の商品まで幅広くありますが、この値段の差が何かというと素材が難燃性かどうかということです。
レーシングスーツ
スニーカー
足元は運転のしやすいスニーカーまたはドライビングシューズを着用しましょう。
個人的なオススメは、デザイン的に普段使いもしやすいプーマのドライビングシューズです。
[プーマ] スニーカー ドライビングシューズ モータースポーツ スピードキャット OG+ SPARCO
スタイリッシュかつ機能的なシューズで、低いアウトソールが確かなペダル感覚を提供します。
また、足に馴染みやすい天然皮革のスウェードレザーのアッパーが快適なフィット感を実現します。
タウンスニーカーとしてはもちろん、ドライビングシューズとしてもオススメの一足です。
私は下手なので一通りの装備があると安心なのと、レーシングスーツを着てHANSデバイスをつけて6点式ベルトを締めてフルバケットシートで運転するとやってる感があってテンション上がるので一応用意できる範囲でそろえております。
走行前の準備は?
サーキット走行は普段の公道と違って車にかかる負荷も段違いで大きくなります。そのため、走行前に車の状態をチェックしておく必要があります。とはいえこれはサーキット走行に限らず、普段から定期的にチェックしておけば日常使いでも安心です。
タイヤ
地面に接するタイヤの状態は非常に重要です。
・スリップサインが出ていないか
・空気圧は適切か
・偏摩耗していないか
などなど。基本中の基本ですね。
すり減ったタイヤではグリップ力が足りずにスピンしやすくなったりします。
また、空気圧ですが、車は走行しているとタイヤの中の空気の温度が上がり、空気圧も高くなります。公道ではそこまでの変化はなくてもサーキット走行のような限界域での走行の場合はかなり熱を持つため、サーキットに着いたら走行前に空気圧を少し低くしておきます。走行後にはどのぐらいまで空気圧が上がっているかを確認しながら次の走行に備えるとよいです。
一般的には空気圧が低いとグリップ力は上がりますが、その分レスポンスが悪くなります。逆に高いとレスポンスはあがりますが、その代わりグリップ力が落ちてしまいます。
走行に慣れてきたら色々空気圧を調整しながら一番走りやすいポイントを探ってみるのも楽しみ方の一つです。
タイヤの空気圧を測る器具がエアゲージと呼ばれるものです。
安いものなら1,000円以下で売っています。日ごろから空気圧はチェックしておいた方が良いので、この機会に購入してみてはいかがでしょうか。適切な空気圧はそれぞれのメーカーが車ごとに設定してあり、運転席のドアの内側などに記載されています。
ホイールのナット
ホイールはボルトやナットで固定されています。
これらが緩んでいるとサーキット走行で負荷がかかった際に折れたり外れたりすることもありますので、事前にきっちり締めておきましょう。
ただし、やみくもに締め上げればいいわけではなく、車ごとに適正な締め付けトルクが設定されています。締めが甘いと緩みますし、締めすぎると折れてしまうこともあります。
その適正トルクで締められるレンチがトルクレンチと呼ばれるものです。
規定数のトルクに設定して締めると、規定値まで締まった後はそれ以上締まらないよう空回りする機構になっています。普段から緩みがないかチェックするのは大事ですし、ご自身でスタッドレスタイヤに交換したりする方もいらっしゃるかと思いますので、こちらも持っておいて損はないものです。
ブレーキ
公道でもサーキットでも、走ることよりも大事なのが「きちんと止まれること」です。
パッドの残量が少なくなっていないか、ローターの減りが進んでいないか、また、キャリパーに緩みなどないか、ブレーキフルードの漏れがないかなど、しっかり見ておきましょう。
サーキットで一番怖いのは止まれなくなることです。事故を防ぎ、車とご自身の安全のためにもブレーキ周りはよく確認しておきましょう。
コースに入ってもいきなりアタックするわけではなく最初にゆっくりと完熟走行をします。ここではコース上に滑りやすいところがないか、物が落ちていないかなどの確認に合わせて、しっかりとブレーキが効くかも必ず試しておきましょう。
エンジンルームのチェック
走行前にはエンジンルームをチェックして、異常かないかの確認をしましょう。
オイルの量が適正か、ブレーキフルードや冷却水などが減っていないか、また、走行中にキャップが取れてコースにオイルを撒いてしまったなどということの無いようにそれぞれのキャップがきちんと閉まっているかをしっかりチェックしましょう。
コースにオイルや冷却水を撒いてしまうと滑りやすくなるので走行が一旦ストップされ、清掃が入ります。他の方に迷惑をかけてしまいますし、清掃代が請求されることもありますので、十分注意しておきましょう。
車内の準備
サーキット走行の場合はフロアマットやスペアタイヤ、芳香剤や飾りなど、基本的に車内の外せるものはすべて外しておきます。
これは一つには安全のためです。走行中に物が外れてしまうと運転に支障が出ますし、外れたものがブレーキの下にはまってしまうとブレーキがかけられなくなったりします。
もう一つは軽量化のためです。せっかくサーキット走行をするのであれば少しでも車体を軽くして走りやすい状態にしておきたいですもんね。
取り外しはできないけど、万が一外れてしまったら…というようなものは養生テープで固定しておくとより安心です。
ゼッケンと計測器の貼り付け
走行会の参加車両はそれぞれゼッケン番号で管理されます。
当日受付をする際にゼッケンと計測器を貸してもらえます。
走行会ごとにゼッケンの枚数や貼り付け場所、計測器の取り付け場所が指定されますので、指示の通りに貼ってください。
ちなみにゼッケンをボディに貼る際はガムテープより養生テープの方が良いです。ガムテープだと粘着糊が残りやすく、下手をするとはがす際に塗装にダメージが、、、なんてことも。
計測器は通称ポンダーと呼ばれるもので、車体に取り付けることで1周のタイム計測ができます。こちらも取付位置は指示されますのでその場所に着けることになります。まずはプラスチックのステーをガムテープでしっかり貼り付け、四角い計測器をセットしてさらに上からガムテープでしっかりと固定します。車体の外に貼るため、万が一はがれて落ちたりしないようにこちらはガムテープでの固定になります。
ちなみにお借りするポンダーを落として壊してしまったりすると5万円ぐらい請求されることになりますのでご注意を…。
サーキット走行にはルールがいっぱい!
ここまでは個人個人での走行前の準備のご説明でしたが、コースに入る前にサーキットの運営の方からの説明を必ず受けることになります。
これはドライバーズミーティング(通称:ドラミ)といって、色々な決まりごとを参加者全員で共有しておくためです。
走行中はコースわきでマーシャルの方がいろいろな色の旗を振って状況を知らせてくれます。
イエローフラッグ
コース脇に止まっている車がいたり物が落ちていたりと注意が必要な場合は黄色い旗で注意を促し、その際はスロー走行で十分注意して走ります。
ブラックフラッグ
ボンネットが開いている、車のパーツが取れかかっている、ヘルメットの首ひもが締まっていないなどがあった場合は対象の車に対して黒い旗が振られます。その場合は速やかにピットに戻らないといけません。
レッドフラッグ
コース上に車が止まっているなど、危険な状態の場合は赤い旗が振られます。レッドフラッグが出た場合は全車スロー走行に切り替え、そのままピットに戻らなくてはいけません。
チェッカーフラッグ
皆さんが一番よく知っているのは白黒のチェックの旗、チェッカーフラッグでしょう。これが振られると走行終了です。そのままピットに戻ります。
他にもブルーフラッグやオレンジポールなど、走行中にはいろいろな旗が振られますので、ドラミではしっかり説明を聞いて頭に入れておきましょう。
サーキット走行は通常よりも高い速度、急ブレーキ、激しいコーナリングなど、普段はしない運転になります。そういった状態の中、複数台で同時にコースを走るので、他車との関係が非常に重要になります。
例えば自分より速い車が来た時に先に行ってもらうにはどのラインで譲るのか、コースのどの辺りで譲るのか、またピットに戻る際にはどうすればいいのか、などですが、サーキットごとにローカルルールがあり、これはドラミで係の方が教えてくれます。参加者全員がその決まりを順守して走行することが徹底されています。
走行会はレースではありません。参加者それぞれが自分のペースで走行を楽しむことが目的ですので、他車に迷惑をかけない、邪魔をしない、そして絶対に接触をしないといったことを常に頭において走行を楽しみましょう。
また基本的に走行会は前を走っている車が優先です。明確に譲る意思を出しているとき以外は無理な追い抜きは禁止です。
他に気になることやわからないことがあればドラミでどんどん質問しましょう。わからないまま走行することが一番危険ですし、質問した人に対してネガティブな印象を持つ人は一人もいませんので。
いざコースイン!
いよいよサーキットデビューです。
しっかりと準備運動をして体をほぐしてから走行に入りましょう。レースではなくてもスポーツ走行です。普段スポーツをする前には準備運動をしますよね?サーキット走行も同じです。
コースインをしても、先ほど説明した通り最初から全開で走ってはいけません。まずは車の状態を確認しながら、他車との距離を十分とって完熟走行をしましょう。特に走行開始時にはタイヤが冷えていてグリップ力も足りていません。滑りやすい状態で無茶をするとスピンしてしまったり、そのままクラッシュなんてことにもなりかねません。タイヤや車の状態、それと自分のテクニックを見ながら徐々にペースを上げていってください。
あくまで限界は超えないように。安全に楽しんで車も人も無事に家に帰ることが一番の目標です。
おわりに
細かく色々と書いてきましたが、一番お伝えしたいのは「サーキット走行は楽しいぞ!」ということです。走っている車の排気音や焼けたオイルのにおい、あちこちでボンネットを開けて止まっている車など非日常感満載の場所です。
いきなり走らなくても走行会の様子の見学もできます。まずはどんな雰囲気か見に行ってみるのも良いですね。
くるまSNSサイトの「みんカラ」のイベントカレンダーの「走行会」などで募集されています。
https://minkara.carview.co.jp/calendar/list.aspx?ci=10
未経験者歓迎の走行会やレッスン付きの走行会などもありますので、ぜひ一度足を運んでみてください。
まずはお知り合いでサーキットに行かれている方と一緒に行ければいろいろアドバイスももらえて最善かと思います。
次回は実際にサーキットに行ったときの模様をレポートします。
お楽しみに!