娘さんがリプロカップOB！大宮で地元密着「手打ちそば処 久霧」が織りなす40年以上の伝統の味と新たな挑戦

大宮の地元に深く根差す「手打ちそば処 久霧」は、創業から40年以上もの間、地元で愛されている老舗の蕎麦屋です。二代目のご主人と奥様を中心にご家族で切り盛りしており、居心地のよい雰囲気が訪れる人々を引きつけてやみません。

二人の娘さんは上落合ミニバスのOBで、リプロカップでもご活躍されていました。そのご縁もあり、お忙しいにもかかわらず私たちリプロマヴィの取材に快くご協力いただきました。

最後までお読みいただければ、きっと、「手打ちそば処 久霧」に足を運びたくなることでしょう。

初代のご主人が「久霧」を1982年に創業。蕎麦とご飯物が人気で、出前の電話が鳴りやまずとても忙しい日々が続きます。

ご子息である現在のご主人は二代目です。お父様の背中を見ながら育ったので、小学校の卒業文集では「将来は蕎麦屋になる」と決意表明もされたそうです。

大学を卒業して一般企業に就職した後、蕨市にある老舗「玄 田むら」で蕎麦打ちの修行を積まれました。そして、 2007年から二代目として「久霧」を切り盛りしています。

現在の「久霧」は、40年以上もの間守り続けている味と二代目の蕎麦打ちの技術が見事に調和しています。

「父の作るおつゆの味が好き」とご主人が語るように、おつゆはカツオ出汁がきいて、深みのある甘さと醤油のバランスが印象的な美味しさ。創業以来、変わらぬ味を作り続けています。

年に数回は畑でそばの収穫にも参加するなど、ご主人は、素材にもとことんこだわります。

自慢の「手挽きそば」は、丸抜き（黒い皮を剥いた状態）のそばを、自前の手挽き臼で毎朝、粗挽きにします。この手作業により一日に提供できる量は限られます。

一方、農家さんから直送されるそば粉も用います。大型臼で細かく挽き込まれ、真空パックで最適な状態でお店に届きます。

こうして、素材へのこだわりが蕎麦に一味違った風味と食感をもたらし、訪れるお客さんを楽しませてくれるのです。

店内には、その日に使うソバの実とそば粉の仕入れ先をお知らせしています。

収穫の様子はご主人のブログでお楽しみください。

初代の頃は製麺機を使っていたそうですが、二代目から手打ち式に変えました。

毎日、店内がまだ静まり返っているなか、ご主人の仕事は始まります。厳選したそば粉を用いて精密な工程をふみ、生地を広げて薄く延ばす作業の音だけが静寂の中で響き渡ります。

こうして作られた手打ちの蕎麦は、その日にしか味わえない一期一会の味となって私たちに提供されるのです。

初めて「久霧」を訪れる方には、蕎麦の醍醐味をあますことなく味わえる「そばの味くらべ」（税込1,650円）をお勧めします。

そばがき、十割蕎麦、手挽き蕎麦の3種を味くらべすることができるからです。

3種の中からまず提供されるのは「そばがき」です。注文が入ってから、そばがき専用の臼で挽いた蕎麦粉を用います。

まさに、挽きたて。

熟練の手つきで、そば粉に水を丁寧に馴染ませます。火に通しながら、しっとりした団子になるまで手を休めることはありません。

そして完成した「そばがき」は、その柔らかい歯応えが印象的。作り立ての温かい「そばがき」だからソバの持つ独特な風味が口いっぱいに広がります。塩でも特製のつゆに付けても美味しくいただけました。

ビールとの相性は抜群で、日本酒のよき相棒にもなるでしょう。

続いて「十割蕎麦」が運ばれてきました。

十割蕎麦は素材の力強さと、しっとりした食感が特徴的です。ぜひ、つゆにつけずに蕎麦だけでも味わってみてください。100％のそば粉で作られているため、蕎麦の風味をダイレクトに感じることができるはずです。

最後は「手挽き蕎麦」です。

手挽きによって生み出される蕎麦は、風味と食感の両方で際立っています。まず、蕎麦の匂いをじっくり楽しみましょう。

そして、一口噛めば、蕎麦の香ばしさがゆっくりと口中に広がります。先代から受け継がれた伝統の「おつゆ」につけ、なお美味しさがふくらみます。

こうして、3種の蕎麦を味わい、最後はそば湯でおつゆを楽しみます。

美味しい食事に感謝です。

ご馳走様でした。

先代の技術が宿る「天ぷら」もお勧めです。プリプリの海老は食べ応えあり、3種の野菜は鮮度がよく、素材の美味しさが最大限に生かされています。いかの天ぷらも絶品です。揚げたてのサクッとした食感もぜひ楽しんでください。

天ぷらを単品で注文するものいいですが、先ほどのセットメニューに天ぷらが付いた「そばの味くらべ　天付き」（税込2,450円）もお勧めです。

「鴨汁せいろ」も美味しいです。

ほど良い甘辛さを宿した特製のおつゆに蕎麦を付けて食べるからこその楽しみ方があります。

肉厚な鴨肉は、一口噛むと肉の旨味が口いっぱいに広がり、とても幸せな気分にさせてくれるでしょう。

2020年ころからお酒にも力を入れ始めたそうです。その象徴がクラフトビールです。

ご主人が埼玉県内のクラフトビールを飲み歩きして仕入れています。

この日は、埼玉県小川町にあるビール工房から仕入れた、フルーティな味わい「雑穀ヴァイツェン」と黒ビール「おがわポーター」を注文させていただきました。

蕎麦といえば日本酒というイメージもありますが、ビールも相性がいいんですね。

アルコールの一杯目には、ご主人が1時間半も練りつづけて作った、濃厚な風味の「蕎麦みそ」が付いてきます。

店内は、落ち着いた雰囲気です。

目を奥に進めると、厨房がわずかに見えます。そこでは腕を振るうご主人の姿が見え隠れし、食事の楽しみを一層引き立てます。

壁には美しい日本画が飾られており、その一つ一つがこの空間に芸術的な彩りを加えています。

二人の娘さんは、上落合ミニバスでプレーされていました。妹さんは、小学生でさいたま市選抜、中学で県選抜に選ばれたそうです。

子供たちがミニバスをやっていて良かった事は何でしょうか。ご主人に振り返っていただきました。

「キャプテンをさせてもらった事もあり、大変な事もあったでしょうが、子供たちにとっては学びが多かったはずです。指導者にも恵まれました。ミニバスの経験は、進学してからも娘たちの人生に役立ったと思っています」

親も得るものが大きかったとご主人は言います。

「子供だけではありません。私たち親もたくさんの事を経験させていただきました。自分のチームだけではなく、他のチームの人とも関わる中でいろいろ勉強させてもらえた事は貴重な時間だと思っています」

団長を務められた奥様は、かなりお忙しかったようです。それでも当時を振り返ってご主人も奥様も思うことは同じです。

「今でもたまに当時の試合のDVDを見ることがあります。やっぱり懐かしい。子供がミニバスをやっていて良かった。本当にいい思い出になっています」

お店の場所は、JR大宮駅の西口から徒歩9分。大宮駅とさいたま新都心駅の間にあります。島忠ホームズの近くです。

お店の前に駐車場がありますので、お買い物の帰りに寄ってみてはいかがでしょうか。